8月1日(月)


 また爆発してる。もういい加減この”直毛”とはおさらばしたい。いっそのことハゲてしまってもいい。そのぐらい今僕は噴火している。

 なんやかんやと今年の始めから、いろいろと髪型を変えて遊んでいた。「2000年だぜバーロぅ」というわけではなく、なんだか「空【ku:】)」な感じでモスモスしてたので、まぁ髪型でも変えたら新鮮味が出てまた”オラオラ”になれるかな?と思ってたら、毎月髪型が変わっていたという感じ。

 たぶん4月始めあたりだと思うけど、なんだか鬱陶しい気分(何でかは覚えてない)だったので、またパーマ(ツイストまでいかないぐらい)をあてた。だけど僕の髪の毛は直毛だけど”ヘナチョコ毛”なので、1週間たったらとれてしまった。これがまた中途半端なとれ具合だったので、単なる”ヘナチョコ毛”になってしまった。ただ、それはそれでおもしろかったのでそのままにしてたけど、どうも”ヘナチョコ加減”がこれまた物足りず”ヘナチョコのヘナヘナ”に陥ってしまい、もう何だかよーわからん髪形に。

 というわけで5月に入ってまたパーマをあてに行ってしまった。前回は横も残し加減だったので、いっきにさっぱり横を刈り上げ、前よりもよりキツクあててもらった。

 するとこれがめずらしくシックリきた。何のことはない、最初からこれで行っとけば良かったのだー、あー、とモスモス気分も晴れ、やがて”オラオラ”気分は上々に。これは久しぶりのヒット!しばらくはこれで行ける・・・と思っていた。

 6月に入り部屋のあちこちでゴッキーが発見され始めた頃、僕の髪は僕の頭に馴れ始め、次第と一体化していっていた。パーマをあててから約1ヶ月の間、シャンプーするにも丁寧に、またコンディショナーをつけるときもパンパンと、この髪型に対する僕の力の入れようはすごかった。あるときはラーメンを食べるときにツユに髪の毛が浸かってしまっても、またあるときは行き付けの喫茶店でママに「ライオン丸」と言われようと、僕は残り半年をこの髪型一筋で行こうと思っていた。全てが順調に行っているように思えてならなかった・・・しかしそううまくはいかないもの。

 ”白髪の大群”である。瀬戸内海に赤潮が発生し養殖場が全滅したニュースは昔からよく聞く。有明の方では例の無用な公共工事にために近海で赤潮が発生し、養殖場は大悲劇を被っているそうだ。またイナゴの大発生により収穫前の畑や田んぼが全滅させられたことも、歴史の授業で聞いたことがある。しかし今回僕の頭で発生したのは”白髪の大群”である。全然気がつかなかったのだがふとしたときに髪のかきあげたときに、それはすごい量の”白髪”を発見してしまったのである。

 普通”白髪”とは、気苦労・ストレスなどから来る精神的(あるいは身体的)疲労や、同時にすごいパワーのショックを受けたときに一瞬にして引き起こるものだと「魔太郎が来る」で読んだことがあるが、この僕に発生した”白髪”はいったい何が原因なのだろう・・・仕事か?それとも日々の生活?そんな筈はない、こんなに毎日のほほんと暮らしているのに。だったら何なんだ?怒り?哀しみ?喜び?喜怒哀楽?いったい何なんだよーーー!!!

 答えは時を経たずして出た。「髪をいたわりすぎ」たのである。北斗神拳伝承者は、通常の人間が出すことができない残り70%の力を発揮することができるらしいが、僕は残り70%の力を”髪”に注いでいた。

 とまぁ、そんな大げさなことでもなかったわけで、7月に入って会社の皆さんがキャバクラでウハウハしている時間、散髪しに行ったわけで、お気に入りーの僕の愛した髪型とお別れしたわけで、なんだかとーってもツラかったわけである。

「今日はどないしますのん、みやけはん、もっとキツイのいきまっか?」
「もう短くいきますわ」
「そうでっか、横もいきますか?ついでに縦にもいきますか?」
「もう全部行っちゃいますわ」
「それやったら寿司屋の大将になりまっせ。まぁ横刈り上げてかぶせましょか」
「それでお願いしますぅ」

 たんたんと切られていく我が髪。ハサミが髪間で交差するするたびに、今までの思い出が走馬灯のように蘇ってくる。スローだ、スローすぎる。こみ上げる涙をこらえながら、鏡に映っている自分のツラをじっと見つめていた。

「上どうします?パーマの部分がなくなるまで切りますか?」
「ええ、そうしてもらったほうがいいですわ」
「でもホンマに大将になりまっせ、もうちょっと伸びてから切りましょか」
「それやったら中途半端になりません?」
「大丈夫、あとはみやけはんの度胸だけですわ」

 結果すごく中途半端な長さのボゥボゥヘアになってしまった。このボゥボゥはVowVowという感じのボゥボゥで、そんなに悪くはない部類だと思う。ただそれはそのときの話。1ヶ月経った今となっては、バォゥバォゥといった感じでそれはそれはよろしくない。朝には必ず寝癖がつく。横にはキッチリ折り目付きだ。たまらんなー。でもホントはちょっぴりお気に入りだったりする。そんな噴火的な毎日だ。すばらしい。


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